アラサー社会人のイギリス大学院留学

エディンバラ大学の修士課程で四苦八苦しながら勉強しています。

エディンバラと人種差別

 エディンバラに来るまでは「アジア人だからという理由で差別されるんじゃないか」と漠然と心配していた。何か根拠があったわけではなく、ただ単に長いこと外国に滞在するのが初めてだったので不安が膨らんでいたのだ。

 こちらに来てから数ヶ月経つけど、実際に差別的な扱いを受けることはまずない。ほとんどの人は快く接してくれるし、あからさまに対応が変わったりすることも経験したことがない。たまに売店とかレストランでカッチーンと来る対応をされたりすることもあるけど、よくよく観察していると、大抵の場合そういう人は誰に対しても同じような対応をしている(ちょっと信じがたいことだけど、誰に対してもお釣りを投げてよこすスーパーのレジ係とかたまにいる)。

 もちろん人種差別主義的な御仁はどこにでもいる(日本にも山ほどいる)し、街ですれ違った人もひょっとしたら「このアジア人め」とか思っているかもしれない。ただそれを公衆の面前であらわにされることはないし、僕も「そういう人たち」のいそうな場所には出向かないようにしているので、今までトラブルに出くわしたことはない。

 ただ、自分が差別を「受けるかもしれない」側に立って初めて感じたのだけど、「いま自分は差別を受けている」と明確に断定することは非常に難しい。先ほども書いたように、僕に対して態度の悪い人はただ単にそういう性格なのかもしれないし、あるいは僕の他の部分(心当たりはたくさんある)が気に入らなかったのかもしれない。それは言い換えると、差別的な対応をした人物が「違うよ、これは差別ではないよ。お前の態度が気に入らなかったんだよ」と言い逃れすることが非常にたやすいということを意味する。特にマイノリティとして慣れない外国で暮らしている場合、この見えない不安感はけっこう堪えると思う。

 同じことは人種差別だけではなく、他の差別についても言える。たとえば男女差別。「個人の能力に基づいて評価している」としながら経営幹部になれるのは男性だけ、という守旧的な会社は山ほどある。そして、たとえば能力のある女性が昇進できない場合、それが性別のせいであると「立証」することは極めて難しい。昇進に必要とされる能力的水準を「誰が見ても明らかに」超えている必要があるからだ。

 話を戻す。僕は日本人で、日本以外の国籍は持っておらず、男性で、関東出身、特に身体・精神的な障害もない、四年生大学を卒業した、つまりマジョリティである。日本にいると意識しない「差別されるかもしれない不安」は、もちろん意識しないで済むならそれに越したことはないんだけど、貴重な教訓になる。

(追記:読み返したらなんだか結論部分がねじれていたので書き直した)