アラサー社会人のイギリス大学院留学

エディンバラ大学の修士課程で四苦八苦しながら勉強しています。

学校での学び、仕事での学び

 学校での学びと仕事での学びは、「道筋を用意してくれるかどうか」が最も大きな違いだと思う。
 学校では、当然ながら学校(正確には先生方とか、文部科学省の職員とか、教科書の出版社とか)が「どう学べば適切にそのスキルがつくか」を考えてくれる。たとえば算数だったら◯◯を授業で教えた後に練習問題を解かせるとか、プログラミングであればオブジェクト志向の概念を説明した後にJavaScriptあたりで何かを作るとか。もちろんこの道筋が必ず正しいというわけではなく、先生のスキルや考え方、生徒との相性によって変わってくるだろう。それでも「こうすればスキル/知識が身につく」という道筋を向こうが用意してくれる点は変わらない。
 他方で仕事では、それによって身につくスキルや効率的な学習方法などは自分以外に誰も考えてくれない。会社の都合によっては、将来まったく需要が見込めず、熟練による上達もないような袋小路的仕事に従事させられる場合もある。
 僕は日本にいるときは仕事に追われてヒイヒイ言っていたけど、こちらに来てからもやっぱり課題や試験に追われてヒイヒイ言っている。一見すると、お金を支払いながらヒイヒイ言っているという奇妙な事態になるわけだけど、身につくスキルや効率性に「保証」(繰り返すが必ず正しいとは限らない)がある点が異なる。すごく乱暴に言ってしまえば、学費+機会費用(その間働いていればもらえたであろう給料)=約1,000万円近くがその「保証」の値段というわけだ。
 会社の都合によってはスキルアップが絶望的な仕事に従事させられる場合がある、と僕は書いたけれど、そうは言っても日本の会社では一応いろんなことを教えてくれるケースが多い気がする(ヨーロッパでの働き方の例を聞いていると、その「職」に就くという意識が強い気がする。◯◯社に勤めるのではなくて「ウェブ開発者」として仕事をするという感じ)。もちろん日本でも教育体制の整った企業に限られるし、身につくスキルも「その会社で働くためのスキル」でしかないのだけれど、仕事に教育的視点を持ち込んでくれる(ちゃんと従業員を教育した方が有益だと会社が判断する)というのは長期雇用のいいところだと思う。
 日本の社会人は諸外国に比べて勉強しない、社会人大学/大学院で学ぶ人が少ないという話をたまに聞くけれど、その真偽/是非は置いておいて、会社が教育の一部を肩代わりしてくれるから大学で勉強しなおす必要がない、という面はあるように思う。