Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

アラサー社会人のイギリス大学院留学

エディンバラ大学の修士課程で四苦八苦しながら勉強しています。

コミュ障こそリーダーになるべき、かもしれない

大学院

 前にも何度か書いたけれど僕はコミュ障である。別に他人とコミュニケーションをまったく取れないわけではないけど、疲れるし齟齬は多いし、個人作業の方がずっと向いている。しかし不幸なことにグループ作業をしなければならないケースは世の中にあふれている。というより普通にサラリーマンとして仕事をしていると、1人で完結する仕事をする方が少ない(あくまでも僕の経験だけど)。

 最近、そうしたコミュニケーションに苦手意識を持つ人こそリーダーの役割を買って出るべきなんじゃないかと思い始めている。もちろん「コミュニケーションが苦手」と一口に言っても原因や症状は千差万別なので、全員に当てはまるわけではない。正確に言うと、僕自身が何度かリーダー的役割をしてきて「リーダーの方がむしろ楽だな」と思うことが多かった。

 主な理由として、リーダーになるとインプット(人の言うことを聞いて理解すること)よりもアウトプット(人に仕事分担やアイデアを理解してもらうこと)の方が多くなる。たとえばグループで1つのウェブサイトなりビジネスプランを作る作業であれば、「我々が何を作ろうとしているのか」「それは従来の◯◯と比べて何が優れているのか」などを明確にする必要がある。僕は「人の論理を理解する」よりも「自分で考えて何かを作る」方が好きなので、リーダーになってしまった方が精神的負担が少ない。

 ただし、必然的に作業量そのものは多くなる。他のメンバーが「誰かがやってくれるだろう」と考えていること、すなわちメインでない細かなプロジェクトの設定を考えたり、打ち合わせの日程調整をしたり、適材適所を考えて仕事の分担をしたりするのはリーダーの仕事だ(厳密に言えば後者2つはマネージャーの仕事なんだろうけど、学校の授業にマネージャーなんていないのでリーダーの仕事になる)。なるべく作業量負担を抑えたいのであればリーダーにはならない方がいいんだろうけど、僕はコミュニケーションが苦手な代わりに個人作業は苦にならないので、機会があれば率先してリーダーの仕事をぶんどってしまう(もちろん他に候補がいなければ)ようにしている。

 

みんなで渡れば怖くない

イギリス生活

 エディンバラの歩行者たちは基本的に赤信号を守らない。「赤信号では止まるべき」というよりは、「まあ参考程度だよね」くらいに考えているふしがある。ロンドンでも割とばしばし歩いている人を見たので、これはイギリス全体の傾向なのかもしれない。もちろん日本にも赤信号でずいずい渡る人たちはいるけど、こちらではむしろ「赤信号だから」という理由でその場にとどまる人の方が少ない。杖をついたおばあちゃんでも車椅子の人でもがしがし赤信号で渡ってしまう。この間は2人組の警官がコーヒーのカップを持って赤信号を堂々と渡っているのを見た。とにかく信号を守る方が目立ってしまうのである。

 理由のひとつには、あまり青信号の時間が現実的でないという点がある。エディンバラでは、たとえば一般的な十字路があったら縦方向の車→横方向の車→歩行者、という順番で青になるので、相対的に待ち時間が日本より長い。それから、日本と比べるとかなり短い時間で青信号が切れてしまう(こちらでは信号の点滅はなく、数秒ふっと両方の信号が切れた後に赤信号に変わる)ケースもある。僕の通学路にある信号は、青になってからすぐ歩き始めても半分くらい歩いたところで切れてしまう。その間、実に約5秒。渡らせる気があるのか疑いたくなるくらいの急かしっぷりだ。これは赤信号で渡りたくなる気持ちもわかる。

 話を少し拡大すると、これはいわゆるイギリス流合理主義に通じるところがある。ルールがわりと適当(といっても国際的に見ればかなりきちんとしているのだろうけど)なので、ルールを守る側から見て合理的でなければガシガシ無視する。

 一方で、車の方も車の方で、歩行者側信号が赤に変わる前に発車してしまうせっかちさんが多い。ウインカーも東京よりずっと適当だ。無事に大学や家にたどり着きたければ、最初はとにかく「他の人についていく」戦略がよい。

 

イギリスの大学院に進学した理由

留学準備

 今さらだけどイギリスの大学院に進学した理由を書く。

 留学先を決めるにあたって、最初はアメリカの大学院を漠然とイメージしていた。けれど会社から「仕事を離れるのはせめて1年くらいにしてほしい」と言われ、1年で修士号を取得できるイギリスの大学院に絞って探した。

 アメリカの大学院修士課程は通常2年間だが、イギリスの大学院、特にTaught Masterと呼ばれる研究ではなく学ぶことが主体の専攻では1年間のコースも多い。その場合、一般の学生が夏休みを過ごしている間に修士論文を書くことになるので、在学中に就職活動をしようとするとなかなか大変かもしれない。

 次に、(比較的)学費が安い。どちらの国も、大学院の学費は1年間で数百万円するので決して「安い」と思える水準ではない。が、実際に自分の進みたい専攻を英米で比べると、ややイギリスの方がリーズナブルな印象を受けた。特にトップ校同士。

 あとは生活環境。もちろん都市や大学によって異なるけど、全般的にイギリスの方が治安がよいイメージがあった。海外生活は初めてなので、出来れば治安のよい街がいい。それから都市の中心地に大学が位置している場合が多く、車を使わなくても生活できることもポイント。僕は免許こそ持っているけど10年近くまともに運転していないので、生きて日本に帰りたいなら運転しなくて済む環境が必要だった。

 もちろんこれはあくまでも一般的な傾向なので、すべての都市/すべての大学院に当てはまるわけではない。それに、やろうと思えば複数の国にまたがって願書を出すことも可能なので、最初は国にこだわらず大学を選んでみるのがよいと思います。

 

英語名

イギリス生活

 非英語圏からの留学生の中には英語名のニックネームを使う人がたまにいる。中国系の学生だとすぐにわかるが、ヨーロッパ系の学生も必要に応じて名前を英語風にするなどしているらしい(とオランダ出身の女の子が言っていた)。

 日本語名で英語圏の相手が発音できるのは、せいぜい3音節までだと思う。ヒロキとかマサトとか。ミキヒコとかアキヨシとかになったら、英語名とは行かなくても「ミッキー」とか「アキ」とか短いニックネームを考えた方がよいかもしれない。僕のファーストネームはちょっと長くて発音しにくい(しかもあだ名にしづらい)ので、英語名を使っている人はすぐ名前を発音してもらえて便利だなあと思っていた(カフェに行って注文したカップに名前を書いてもらうときとか、特に思う)。が、英語名を使っている人はそれはそれで色々と気苦労があるみたいだ。

 まず、同じ国の出身者がたくさんいると、英語名を使うタイミングが難しい。典型的な例が僕の友人(中国出身)。彼はTomという英語名を使おうとしており、僕にも最初は「Tomって呼んでくれよ」と言っていたが、中国の友人たちには本名で呼ばれているので、そのまま押し切られるように全員から本名で呼ばれるようになった。FacebookだけはTomのままなので、大学院デビューに失敗したみたいでちょっと恥ずかしい。それから授業の出席を取るときなどにも「あ、本名はXXXなんですけど、普段はAngelaと呼んでいて」みたいなやり取りをすぐことになって面倒。

 日本人で英語名を使っている人は見たことがないけど、もし「英語名を使おうかな」と考える人がいたら、まず「可能な限り英語名で押し通す」ということをお勧めしたい。「本名はXXXっていうんだけど、英語名はKateで…」なんてやっていたら相手も混乱するし、まず定着しない。

 

グループチャットネイティブ

大学院

 グループで取り組む授業のチームメイトに、大学を出たての中国出身の男の子(仮にJ君としておく)がいる。彼はアニメーション学科卒で、とても絵が上手いのだけどITが苦手である。彼のIT知識に関して、ちょっと面白いすれ違い(?)があったのでメモしておく。

 件はメールの宛先。まず、とある授業の教授が僕とJ君を含む何名かにメールを出した。そこで僕は全員に返信した。後でJ君からの返信も届くだろうと思っていたが、なかなか届かない。彼に聞くと、「え? 返信したよ」とのこと。しかし彼の送信ボックスを確認すると、教授にしか返信されていない。「教授しか宛先に入ってないじゃない」と指摘すると、「大丈夫だよ。最初に教授が僕たち全員をグループに登録したんだから、全員に届いてるはずだよ」との返事。

 一瞬「?」となったけど、よくよく考えてみると謎が解けた。彼は複数送信のメールをグループチャットと同様に考えていたのだ。だから返信の宛先にかかわらず(たぶん「Reply all」ではなく普通に「Reply」を押したんだろう)全員に自分の返信が届くと思っていたのだ。グループチャットネイティブ世代というか、たしかにメールより先にWeChat(中国製のLINEに似たアプリ。中国ではFacebookもTwitterもLINEも使えない)に触れた世代ならあり得る誤解だ。むしろグループチャットの性質をロジカルに演繹した結果の誤解であるわけで、僕は逆に感心してしまった。

 彼は他にも色んなIT関係のやらかしをしていて、彼を見ていると「スマホは得意だけどPCは苦手」という若年世代の典型例を見ているようで興味深い。上記の「グループチャット勘違い」は、これから日本の企業でも頻発するんじゃないかと思う。

 

『けものフレンズ』式、海外雑談サバイバル術(2)

イギリス生活

 前回記事の続き。何気ない雑談を乗り切る(「?」と相手に思わせない)ための会話フレーズ。

 たーのしー!:レストランで食事していると、ウェイター/ウェイトレスの人がたまに「何か問題はない?」みたいに話しかけてくることがある。たいていはEverything is fine.とかLovely.とか答える。ホテルをチェックアウトするときも同様のことを聞かれるときがあるので、Qutie comfortable.とか答えればよいと思う。

 大丈夫ー!:誰かにSorry.とか謝られたときは、大丈夫ですという意志を示すためにThat's OK.とかIt's fine.とかNo problem.とか言えばよい。お店で何かを断るとき、たとえばカフェで「他に注文はあるか」と聞かれて「ない」と答えるときはNo, that's all. Thank you.とか返す。

 そうなんだー!:特に海外生活の始めは、誰かに何かを説明してもらうことが多いと思う。アパートの設備について、大学の図書館について、などなど。自分が内容を理解できて、かつ相槌に困ったらOkay.とかMakes sense.とかSure.とか言っておけばよい。説明が腑に落ちないとき、相手の話をうまく聞き取れないときはまずExcuse me.と言って相手がぺらぺら話し続けることを防ぎ、I couldn't catch your point.とかCan I confirm one point?とか言って「自分が腑に落ちていないこと」「その場所」を指摘する必要がある。

 以上です。こんな貧相な語彙でも最低限の相槌というか、「何でもいいけど何か一言いわなきゃいけない」みたいなときにちょっとは役立つ。

 もちろん、日常生活では常に肯定的な相槌を打てるわけではなく(日本と同じですね)、迂闊にOKとか言ってはいけないときはある。当然ながら僕もいつもきちんと指摘できているわけではなく、後から「やっぱあの話意味不明だなあ」とか「お釣りが少ないことを指摘すればよかった」とか後悔することはある(いちおうイギリス人の名誉のために言っておくと、ほとんどのお店で極めて正確にお釣りを渡してくれる。僕が遭遇したのは明らかにおしゃべりしながらお釣りを数えていたがためのウッカリ案件である)。模索の日々は続く。

 

『けものフレンズ』式、海外雑談サバイバル術(1)

イギリス生活

 僕は雑談が苦手だ。特にいわゆる「他愛のない雑談」が苦手。主題や目的のない対話ほど対応に苦慮するものはない、と思っている(もちろん極めて仲の良い人とだったらまったく苦にならないんだけど、そうでない人との雑談で緊張するタイプなのです)。

 一方で日本では『けものフレンズ』が流行っているらしい。正確には、けものフレンズ的世界観を基にして「すごーい!」「たーのしー!」「大丈夫ー!」「そうなんだー!」「君は◯◯が得意なフレンズなんだね!」などの賞賛フレーズで構成される毒のない会話が流行っているという記事を読んだ。記事には「知能指数が下がる」とか書かれているけど、僕がイギリスでしている雑談ってこれとあんまり変わらない。

 逆に言えば、必要最低限の雑談は『けものフレンズ』くらいの語彙で何とか間に合わせることができる。

 先に断っておくと、本当にきちんと自分の考えを説明しなければいけない場面も多々あるので、そういうときには論理立てて意見を述べる必要がある。今回の話は、どう答えたって大勢に影響のない、日常の「他愛ない会話」を念頭に置いている。こうした会話が極めて難しく感じる僕のような人のためのマニュアルだと思ってください。

  すごーい!:まずは基本。誰かの話を聞いて特に感想がない場合は、別に何も良くなくてもThat's good.とかIt's interesting.とか単にGoodとか答えるとよい。僕の中学校のときの英語の先生は「いいか、英語の感覚ではGoodが普通なんだ。Greatまで言われたら『良い』ということだ」と言っていた。慣れてきたらIt reminds me...と前置きして関係ない自分の話を始めるとコミュニケーションしてる感じになる。なんだかとんでもないことを書いているように見えるかもしれないけど、実際の会話ってけっこう噛み合ってなくても問題なく進むものだと思う。僕の専攻にとてもお喋りな女の子たちが3、4人いて、始終ぺちゃくちゃ喋っている(僕は遠巻きに「よく動く口だねえ…」と思いながら見ている)のだけど、よくよく聞いているとお互いが自分の思い出話やら感想を言い合うだけで、特に直前の話と密接に絡んでいるわけではないことがわかる。もちろんメインのテーマ(たとえば「ハイスクールの思い出」とか「来週〆切の課題について」とか)はあるけど、はたから聞いていると「それあんま関係なくね?」と思う話題の飛び方も多い。

 長くなってしまったので、続きは次回に書きます。

 たーのしー!